物理の先生はよく、「世界は3つのものから成り立っている」と言います。物質、エネルギー、情報です。物質は見たり触ったりできるもの、エネルギーは万物を動かす力、では情報は？それは前の2つを記述するデータのことです。

つまり、通貨とは人類が発明した特殊な数字の列――物質的な富やエネルギーの流れを記録するための道具なのです。

**貝殻からコードへ、通貨はどうやって純粋な数字になったのか？**

最初の通貨はそれ自体がモノでした。貝殻や家畜は、そのまま交換に使えました。やがて金や銀が登場し、安定して希少なことから使われましたが、本質的にはやはり実物です。重要なのはその「数字」――例えば1グラムの金でどれだけの穀物と交換できるか、ということです。

転機となったのは紙幣の登場です。考えてみてください、一枚の紙の価値はどれくらいでしょう？紙幣が価値を持つのは、裏に数字が書かれていて、それが金や他の財産と交換できると約束されているからです。その時から貨幣は具体的なモノとのつながりを断ち、純粋な記号――もっと言えば帳簿上の数字になりました。

**なぜ何もかも数字で測らなければならないのか？**

家、デリバリー、労働時間――これらは直接比較できませんよね？一棟のビルと1時間の労働、どうやって換算するのでしょう？

でも、それらに価格(100万、50元、100元)をつければ、一瞬で同じ天秤に乗せて計算できるようになります。経済の仕組みとは、突き詰めればこれらの数字が様々なアカウント間を行き来することです。数字が増えれば「成長」、減れば「デフレ」と呼ばれるのです。

**デジタル通貨：究極の形がすでに到来**

いま私たちが使っているお金――銀行口座の残高、アリペイの数字、ウォレットの暗号資産――どれも画面上に現れる数字です。現金紙幣はもうほとんど骨董品になりつつあります。

ブロックチェーンはさらに進化し、「記帳」という行為自体を分散化しました。すべての取引が公開され、透明なデータの流れとして記録されます。通貨は完全に物質から情報へと変貌を遂げたのです。今話題のWeb3や分散型金融とは、要は「誰がこの数字の記録権を持つのか」を再定義しているだけなのです。

だから次に誰かに「暗号通貨って何？」と聞かれたら、こう答えましょう――それは通貨の本質を極限まで突き詰めたもの、つまり純粋な数字です。物理的な媒体は一切不要、全ネットワークの合意だけが必要なのです。