## 7月7日週、週間ベースではS&P500、ナスダック100ともにマイナス圏に先週(7月7日週)、米国株式市場は一見穏やかな推移を見せたものの、市場内部では激しい動きが進行しています。関税をめぐるホワイトハウスの強硬姿勢と、それに対する市場の"慣れ"、さらにはAIブームに乗るエヌビディア[NVDA]が世界で初の時価総額4兆ドル(約590兆円)を達成するなど、注目すべき動きが重なりました。S&P500およびナスダック100は週中に過去最高値を記録したものの、週末には関税再強化懸念により下落し、週間ベースではS&P500は-0.31%、ナスダック100は-0.38%とそれぞれマイナス圏で取引を終えています。## S&P500エネルギーセクターが週間で+2.48%とトップのパフォーマンスしかし、それでも確かに起きていたのは、これまでAI関連を中心に買われてきた超大型IT株が一息つく一方で、金融、エネルギー、素材といったセクターに徐々に資金が移り始めているということです。特に、WTI原油価格の反発やトランプ氏のロシアに対する制裁示唆、そして米国のリグ稼働数減少などを背景に、S&P500エネルギーセクターは週間で+2.48%とトップのパフォーマンスを見せました。その一方で、AI関連のソフトウェア銘柄には逆風が吹きました。ブロードコム[AVGO]のCEOであるホック・タン氏が「AIは長期的にはソフトウェアの価値を侵食する可能性がある」と述べたことで、データドッグ[DDOG]やセールスフォース[CRM]といった銘柄が大きく売られました。また、暗号資産市場にも注目すべき動きがありました。ビットコインは11万ドルの壁を突破し、2日連続でビットコイン現物ETFへの資金流入が10億ドルを超えるなど、投資家の関心が再び高まっていることを示しました。利下げ観測やテック株との相関性も含め、引き続きマクロ環境に敏感な動きとなりそうです。## エヌビディア[NVDA]株が市場を牽引、ネットフリックス[NFLX]は堅調持続も一部アナリストが慎重姿勢先週(7月7日週)最も注目を集めたのは、AI半導体の覇者エヌビディア[NVDA]でした。同社の時価総額は4兆ドルを突破し、アップル[AAPL]の過去最高水準を上回りました。「AIインフラ構築の中心に位置する」というストーリーはなお健在とされ、7月後半のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に市場全体が静観ムードにある中で、エヌビディア[NVDA]株は市場を牽引する役割を果たしました。一方、FAANGの旧メンバーでありながら「マグニフィセント7」からは外れていたネットフリックス[NFLX]は、2025年に入り40%高、過去12ヶ月では83%上昇と驚異的なパフォーマンスを記録しています。パスワード共有対策や広告付きプランの導入により加入者が急増したことが背景ですが、「成長期待はすでに織り込み済み」として格下げを行うアナリストも出てきています。## 今週(7月14日週)は決算シーズン本格化、金融セクターに注目今週(7月14日週)から、いよいよ第2四半期の決算シーズンの本格到来となります。まず注目されるのは金融セクター。S&P500構成銘柄38社の決算発表が予定されており、その半数を金融機関が占めます。イールドカーブのスティープニング(長短金利差の拡大)は銀行にとって追い風であり、商業銀行や地域銀行の収益性にポジティブな影響を与える可能性があります。7月15日(火)にはジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、シティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]が、翌16日(水)にはバング・オブ・アメリカ[BAC]、ゴールドマン・サックス[GS]、モルガン・スタンレー[MS]が続きます。これらの決算は、利ザヤ縮小の影響や商業用不動産関連のエクスポージャーが焦点となります。## テック大手も決算発表、経済指標の結果も市場のムードを左右するか?また、テック大手も引き続き注目です。これまでの上昇は期待先行である部分も大きく、今回の決算では実際にAI関連の成長がどれだけ収益に貢献しているのかが問われることになります。特に、エヌビディア[NVDA]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]といった銘柄が業績で期待に応えられるかどうかは、マーケット全体のセンチメントにも大きく影響を与えるでしょう。また、ネットフリックス[NFLX](17日)、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ](16日)、GEエアロスペース[GE](17日)などの非金融系のメガキャップ企業の業績も注目されます。一見落ち着いた相場に見えるかもしれませんが、実はその下では大きな資金の流れが着実に動き始めているように感じます。潮目が変わるときは、往々にして静かに始まります。投資家としては、目先の値動きに惑わされることなく、こうした市場内部の動きに注意しておく必要があります。米国の経済指標では、7月15日(火)の6月消費者物価指数(CPI)、17日(木)の小売売上高、18日(金)の住宅着工件数などが市場のムードを左右する可能性があります。CPIはインフレ鈍化の持続性を、住宅関連指標は景気の底堅さを測る上での試金石となるでしょう。
エヌビディアが世界初の時価総額4兆ドル突破、決算発表も注目の米国株市場 | 岡元兵八郎の米国株マスターへの道 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア
7月7日週、週間ベースではS&P500、ナスダック100ともにマイナス圏に
先週(7月7日週)、米国株式市場は一見穏やかな推移を見せたものの、市場内部では激しい動きが進行しています。関税をめぐるホワイトハウスの強硬姿勢と、それに対する市場の"慣れ"、さらにはAIブームに乗るエヌビディア[NVDA]が世界で初の時価総額4兆ドル(約590兆円)を達成するなど、注目すべき動きが重なりました。
S&P500およびナスダック100は週中に過去最高値を記録したものの、週末には関税再強化懸念により下落し、週間ベースではS&P500は-0.31%、ナスダック100は-0.38%とそれぞれマイナス圏で取引を終えています。
S&P500エネルギーセクターが週間で+2.48%とトップのパフォーマンス
しかし、それでも確かに起きていたのは、これまでAI関連を中心に買われてきた超大型IT株が一息つく一方で、金融、エネルギー、素材といったセクターに徐々に資金が移り始めているということです。
特に、WTI原油価格の反発やトランプ氏のロシアに対する制裁示唆、そして米国のリグ稼働数減少などを背景に、S&P500エネルギーセクターは週間で+2.48%とトップのパフォーマンスを見せました。
その一方で、AI関連のソフトウェア銘柄には逆風が吹きました。ブロードコム[AVGO]のCEOであるホック・タン氏が「AIは長期的にはソフトウェアの価値を侵食する可能性がある」と述べたことで、データドッグ[DDOG]やセールスフォース[CRM]といった銘柄が大きく売られました。
また、暗号資産市場にも注目すべき動きがありました。ビットコインは11万ドルの壁を突破し、2日連続でビットコイン現物ETFへの資金流入が10億ドルを超えるなど、投資家の関心が再び高まっていることを示しました。利下げ観測やテック株との相関性も含め、引き続きマクロ環境に敏感な動きとなりそうです。
エヌビディア[NVDA]株が市場を牽引、ネットフリックス[NFLX]は堅調持続も一部アナリストが慎重姿勢
先週(7月7日週)最も注目を集めたのは、AI半導体の覇者エヌビディア[NVDA]でした。同社の時価総額は4兆ドルを突破し、アップル[AAPL]の過去最高水準を上回りました。「AIインフラ構築の中心に位置する」というストーリーはなお健在とされ、7月後半のFOMC(米連邦公開市場委員会)を前に市場全体が静観ムードにある中で、エヌビディア[NVDA]株は市場を牽引する役割を果たしました。
一方、FAANGの旧メンバーでありながら「マグニフィセント7」からは外れていたネットフリックス[NFLX]は、2025年に入り40%高、過去12ヶ月では83%上昇と驚異的なパフォーマンスを記録しています。パスワード共有対策や広告付きプランの導入により加入者が急増したことが背景ですが、「成長期待はすでに織り込み済み」として格下げを行うアナリストも出てきています。
今週(7月14日週)は決算シーズン本格化、金融セクターに注目
今週(7月14日週)から、いよいよ第2四半期の決算シーズンの本格到来となります。まず注目されるのは金融セクター。S&P500構成銘柄38社の決算発表が予定されており、その半数を金融機関が占めます。イールドカーブのスティープニング(長短金利差の拡大)は銀行にとって追い風であり、商業銀行や地域銀行の収益性にポジティブな影響を与える可能性があります。
7月15日(火)にはジェイピー・モルガン・チェース[JPM]、シティグループ[C]、ウェルズ・ファーゴ[WFC]が、翌16日(水)にはバング・オブ・アメリカ[BAC]、ゴールドマン・サックス[GS]、モルガン・スタンレー[MS]が続きます。これらの決算は、利ザヤ縮小の影響や商業用不動産関連のエクスポージャーが焦点となります。
テック大手も決算発表、経済指標の結果も市場のムードを左右するか?
また、テック大手も引き続き注目です。これまでの上昇は期待先行である部分も大きく、今回の決算では実際にAI関連の成長がどれだけ収益に貢献しているのかが問われることになります。特に、エヌビディア[NVDA]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]といった銘柄が業績で期待に応えられるかどうかは、マーケット全体のセンチメントにも大きく影響を与えるでしょう。
また、ネットフリックス[NFLX](17日)、ジョンソン・エンド・ジョンソン[JNJ](16日)、GEエアロスペース[GE](17日)などの非金融系のメガキャップ企業の業績も注目されます。
一見落ち着いた相場に見えるかもしれませんが、実はその下では大きな資金の流れが着実に動き始めているように感じます。潮目が変わるときは、往々にして静かに始まります。投資家としては、目先の値動きに惑わされることなく、こうした市場内部の動きに注意しておく必要があります。
米国の経済指標では、7月15日(火)の6月消費者物価指数(CPI)、17日(木)の小売売上高、18日(金)の住宅着工件数などが市場のムードを左右する可能性があります。CPIはインフレ鈍化の持続性を、住宅関連指標は景気の底堅さを測る上での試金石となるでしょう。